日欧EPAによるワインの関税撤廃

   

2017年7月14日の日本経済新聞より引用

7月上旬。日本と欧州連合(EU)が進める経済連携協定(EPA)交渉で、隠れた主役となった国があった。日本からも欧州からもはるか離れた南米の国、チリだ。日欧EPAで、日本が輸入するワインは関税の即時撤廃が決まった。欧州産ワインはボトル1本あたり93円、もしくは価格の15%分のうち安い方の関税がなくなる。1本1,000円のワインなら1割ほど値引きの余地が出る。発効は早くて2019年。同じ年に、チリ産も関税がなくなる。国税庁によると国内のワインを含む果実酒の消費量は15年度に約37万キロリットルと、10年前に比べて6割増えた。伸びを牽引するのが、日本とチリのEPAで関税が下がり、安価になったチリ産ワインだ。どっしりとした味わいの「安うまワイン」が人気で、16年のボトルワイン輸入量のうちチリ産は29%のトップにある。割りを食ったのが、ブルゴーニュやボルドーなど有力な産地が多いフランス産ワイン。08年に42%だったシェアは16年には27%まで下がった。「日本は自動車で欧州市場が欲しければ、ワインで譲ってはどうか」。欧州側は対チリの観点で市場開放を強く求めてきた。フランスのワインは華やかな香りに特徴のあるものが多い。選択肢が増える日本の消費者には関税撤廃朗報と言える。国内勢には厳しい競争が待ち受ける。ワイン大手メルシャンの推計では、国内産ワインの消費量は15年度に約11万キロリットル。輸入品(約26万キロリットル)の半分以下だ。ワイン醸造が盛んな北海道の池田町ブドウ・ブドウ酒研究所の安井美祐所長は「ブドウの品質を高め、付加価値の高い商品で勝負したい」と話す。ワインコンサルタントの田辺由美氏は「国内のワイン市場が広がれば、国内産にもチャンス」とみる。日欧EPAでは非関税障壁の撤廃・緩和も実現する。日本産のワインがEUでワインと認められるようになり、日本酒などの地域ブランドを守る地理的表示(GI)の相互保護も決まった。清酒の国内消費量は15年度に約56万キロリットルと、10年前に比べて23%も減っている。月桂冠(京都市)は「EPAは輸出の後押しの要因」と期待を寄せる。チリ産ワインが日本で売れたのは「質の高さ」も評価されたから。世界に通じる「質」を作りあげてこそ、EPAに酔うことができる。

確かに、ワイン業界は今、日本ワインを強く推しているし、数年前とは比べ物にならないくらい日本ワインの品質がかなり良くなっている。日欧EPAにより日本ワインが選ばれにくくなるということも考えられるが、田辺氏の言う通り国内のワイン市場が広がれば、国内産にもチャンスはある。ワインに関わるものとしては、「いいものを安く提供できるようになる」ということはいいことだと思う。日欧EPAにより、国内生産者の意識もさらに高くなり、品質のいいものを適正な価格で提供しなければ消費者に選ばれることはない。国内生産者も私たちも、ワインを取り扱うものは品質を見極める知識と経験をより求められるだろう。そして、何より日々ワインと向き合い、情報を発信し、情報交換し、ワインを楽しむことが何よりも業界の発展につながることを意識しながらやっていきたい。

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